小さな不動産店が1年で黒字になる方法1-開業直後、近所に老舗の支店が
カネなし、コネなし、知名度ゼロのカトウエステート(仮名)は独立して不動産会社を新規開業した。時を同じくして、地元の老舗不動産会社の支店の鈴木住宅販売(仮名)も近所に出店してきた。
両社の営業方法は全く違うものだった。同じエリアに開業した2社の1年間の営業方法と成り行きを5回の記事にしました。
ただし、登場する会社名や登場人物や地名は架空のモノであり、内容はフィクションです。
開業直後、とつぜん近所に老舗の支店が出店。さあどうする?
カトウエステートは私鉄の西町駅から徒歩約4分の場所に独立開業をした。突然の新規開業だったために銀行から借り入れせず自己資金の開業だった。開業資金が少なかったため、家賃が比較的に安い2階の店舗になった。
社長の加藤は沿線の不動産会社で賃貸営業と賃貸管理の責任者として10年間勤務した。34歳になって、西町で独立したのである。新規独立開業は聞こえはいいが、勤めていた会社が賃貸管理部門を他社に譲渡したことになったためのリストラだった。
加藤には妻と7歳になる子供がいる。加藤は転職するか独立するかで悩んだ末、独立を選んだ。一方、鈴木住宅販売西町支店は隣駅に本社がある鈴木住宅販売の支店である。
鈴木社長の長男が常務取締役と店長を兼務してカトウエステートとほぼ時を同じく出店してきたのだ。店長の鈴木は将来、父が経営する鈴木住宅販売の後継者になるために修行という意味で大学を卒業して10年間、他の不動産会社2社で売買営業、賃貸管理などを経験した。
不動産会社の経験は2人とも似たようなモノだった。
駅前一等地1階 VS 徒歩4分2階店舗
カトウエステートがこの地に開業の場所を選んだ理由は。
- 以前勤務していた不動産会社の管理物件の大家さんが多いこと。
- それで土地勘があったこと。
- 老舗の管理会社が2社あるが不動産フランチャイズがまだ少ななかったからだった。
そんな、加藤の期待は開業1週間後にライバルの進出によって崩れたのである。
本社が隣駅とはいえ規模も知名度もある地元では有名なの鈴木住宅販売の支店の進出は独立開業の身である加藤にとって相当のショックであった。しかも鈴木住宅販売は駅前のロータリーに面した一等地という好立地だったから尚更だ。
一方、カトウエステートは駅前の鈴木住宅販売より200メートルほど駅から離れた場所にある小さな賃貸ビルの2階だった。開業資金に余裕がないカトウエステートにとっては仕方ないことではあるが予想もしない船出になった。
加藤の心中は複雑であっった。向こうは地元の人なら誰もが知る有名店、こっちは全くの無名店、意識すること自体が無意味とは分かっていても、同じ時期の開業店だけに意識してしまうのである。
5名 対 夫婦2人
カトウエステートは社長と妻の2名だ。
5名 対 2名だ。
この2社が同じ場所で、同じ時期に開業したのだ。意識するなと言っても無理である。
関連した記事を読む
- 2024/11/24
- 2024/11/23
- 2024/11/22
- 2024/11/21