小さな不動産店が1年で黒字になる方法2-ホームページの目的とは
カトウエステートの社長の加藤は頭を抱えていた。新規独立開業の喜びもつかの間、近所に地元で有名な不動産会社の支店が進出してきた。
地元の有名な不動産会社の鈴木住宅販売はポータルサイトや自社ホームページで豊富な資金とマンパワーで攻めてくると予測できる。落ち込んではいられないと気持ちを切り替えた加藤は以前に勤務していた管理会社の不動産オーナーを訪問してみた。
そこで大家さんから悩みや、抱えている問題を相談された。さらに、空室で困っている知り合いの大家さんを紹介された。早速、その大家さんを訪問した。そして、空室の募集を依頼された。
その空室とは・・・? 何と、鈴木住宅販売に管理を委託した大家さんだった。
ホームページの目的は、誰に、何を、どんな方法で伝えるか?
鈴木住宅販売西町支店は支店開業と同時に大手ポータルサイト数社に100物件以上掲載した。少なく見積もっても月に数十万円の広告費だ。ホームページは本社と同じものでポータルサイトと連動するものだっだ。
店舗の家賃と通信費と光熱費、人件費と広告費。毎月かなりの支出だ。加藤は太刀打ちできないと大きなため息をついた。
鈴木住宅販売西町支店だけでなく、近隣の不動産会社のホームページは制作会社が違うだけで、中身はどれも似たようなモノばかりだった。
似たようなモノとは。
- トップページ
- 物件一覧
- 物件詳細
で構成されている。
近隣や多くの不動産のホームページは
・ホームページの目的は:反響と集客
・ターゲット顧客は:入居者、購入者
・掲載内容:物件紹介
・広告媒体:ポータルサイト
これはどこも同じである。多くの不動産会社のホームページはポータルサイトのコンパクト版なのだ。
「俺はいったい誰を顧客にして、何をしたいのだ!」加藤は自問自答した。
カトウエステートも自社ホームページの制作を検討していた。そのために数社のシステムを検討していた。
「これじゃ。資金力のないウチは1年でつぶれる」と加藤は不安でいっぱいになった。
大家さんの悩み、問題を解決する不動産会社
加藤は焦る気持ちを抑えて、店の留守番を妻にまかせ毎日外へ出た。以前の会社の管理物件が多いこの地域の大家さんに開業の挨拶で大家さん訪問をした。
真面目だった加藤は大家さんから愛されていた。新たな空室の悩みや入居者のトラブルなどあらゆる相談を受けた。
いくつか空室の募集も依頼された。前につとめていた会社とは円満に退職したので募集を委託することに問題はなかった。
その中に、以前のお得意様だった大家さんが知り合いの大家さんを紹介してくれたのだ。
「1年も入居者が決まらず空室で困っている」と紹介されたのである。その管理会社が鈴木住宅販売だったので驚いた。
加藤は管理会社の従業員だった以前と、小さいながらも経営者となった今の自分とでは相談の内容が違うことを感じた。
「事件は現場で起きている」と責任の重みを感じた。
加藤は管理会社につとめていた経験を生かして、
・大家さんの悩みや困っていること
・大家さんが抱えている問題を解決すること
をカトウエステートの経営方針にすると決めた。
その時は、加藤はこれがマーケティングだったとは知らなかったのである。それを知ったのは数ヶ月後だった。
大家さんが募集依頼にやってくるホームページ
カトウエステートの経営方針が決まった。加藤は具体的な行動計画を立てていた。
まともなことをやってもダメだと感じた。世間とは逆の発想で生き残る覚悟を決めた。
カトウエステートのホームページのコンセプトは
ホームページの目的は:知名度上げて地域で誰も知る有名店になる
ターゲット顧客は:地元に物件を所有する大家さん
何を:受託した物件紹介、大家さんの悩み問題解決のコンテンツの充実
どんな方法で:自社ホームページとブログ
と決めた。
いきなり、大家さんから「管理受託」といかなくても最初は「一般媒介」で空室募集を受託できる会社になること。
そのために仲介物件はホームページで紹介しないと決めた。実際はそれをやる時間もなかったのだ。
せめてレインズに掲載できる物件を、大家さんから直接受託する会社になろうと。顧客ターゲットは入居者ではなく大家さんにすることを決めた。
資金に余裕がなく従業員もいないカトウエステートはポータルサイトなどの広告を利用しないことを決めた。人手や資金、時間も無いので動画や360度画像なども使わないと業務をシンプルにした。
なんでもやるのではなく、スタッフが増えるまで余計なことはやらないと決めた。イチかバチかと覚悟を決めた。
カトウエステートのホームページは
・物件紹介
・コンテンツが自由に作れる
・全ページスマホ対応
・SSL(全ページhttps対応)
・アクセス解析(グーグルアナリティクス)
・初期費用ゼロでいつでも解約できるサブスク型のアプリケーションを採用した。
■物件紹介は
- ホームページに掲載する物件は20物件以下にする
- 写真は1物件50枚以上掲載する
- 1物件はトップ、概要、間取り、写真、周辺環境、設備、アクセスと大手不動産会社のように複数ページにして内部リンクを増やすこと
- 1物件7ページなら、100物件×7ページ=700ページになるので、物件数で近隣他社に負けない
- エアコンやキッチン、シャワートイレはメーカーや型番まで入れる
- 消防設備点検、受水槽清掃、高圧洗浄点検は作業中の写真を入れ、修了証まで画像で掲載する
これなら鈴木住宅販売のホームページの7倍以上のページ数になる。さらに記事や写真を入れて内容を充実させて明らかに違いを表現すると決めた。
■コンテンツの充実
- 大家さんの悩み問題解決ブログ
- 賃貸経営のためのお役立ちブログ
- 大家さんのための空室対策セミナー開催コンテンツ
- 地域の公共施設、病院、学校、ショッピングなどの紹介ブログ
上記のブログを半年間毎日書き続けることを決意した。
先ずは6ヶ月間は死に物狂いでやろうと決めた。そのために数値目標を立てることにした。
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