このままでは食っていけないという社長
新型コロナの影響で貿易や流通が滞りました。さらに戦争などの地政学リスクが加わっています。石油やガスなどの燃料の高騰は世界経済だけでなく我が国の経済にも混乱を招くことは必至です。
これらのことが不動産会社の経営に影響をもたらし、「このままでは食っていけない」「どうしたら経営が改善するか」などと不安になっている零細不動産店も多いです。半年前に相談があったA様の事例です。
周囲に知ってもらうためにどんなことをしましたか?
「ホームページに物件を500件載せて、週に1度ブログを発信しているのに全然反響がない。知名度を上げたいけど、その前につぶれてしまいそうだ。どうしたら良いか教えて欲しい」というご相談でした。
中野:その他に何かやりましたか?
社長:コロナで外出も控えて何もできなかった。
中野:お店や自宅にいたのですか?
社長:たまにファミレスやカフェにも行った。家に仕事は持ち込みたくなかったので自宅では仕事はしてはいない。
中野:それでブログは週に1度だったのですか? もっと書けたのでは?
社長:ネタを探すのが大変だった。ネタ探しの毎日です。
中野:会社のことを周囲に知ってもらうために他にどんなことをしましたか?
社長:だからコロナで何もできなかったって言ったでしょう!
近所の不動産会社に名刺配りしましたか?
中野:コロナでも、近所の不動産会社は店を開けていたはずですよね。
社長:当たり前ですよ。そんなに店を閉めていたら干上がってしまう。
中野:だったら、近所の同業者や管理会社に名刺配りもやろうと思えばできましたよね。
社長:・・・。それがね。コロナだからね。むずかしいよね。それに同業者と仲良くするのは苦手なんで。
「成功している会社」と呼ばれている会社は、その裏では信じられないような努力をしています。つまり「成功する」ために圧倒的な努力をしています。
食っていくためなら名刺配りがカッコ悪いなんて言っている場合じゃないはずです。名刺配りをやったから商売が上手くいくかどうかより、何でもイイからとにかくやってみること、行動してみることで道が開けるのではないでしょうか?
開業当初は、やりきる覚悟を持って独立したはずです。
何で独立したの?じゃあ元のサラリーマンに戻りたいの?
中野:ブログのネタ探しが大変だったから週1しか発信しなかったのですか?
社長:発信しなかったのではなくて、いろんなことがあって発信できなかったのです。くどいですね。
中野:毎日、いえ週に3、4回でも発信するとができたのではなかったのですか?
社長:ブログのネタ探しがあんなに大変とは思わなかったんですよ。
中野:地元の商店や飲食店などの紹介なら、簡単に発信できると思いますが。
社長:年中ブログや集客のことばかり考えていられないし。家族もいるし。
中野:じゃあ何で独立したのですか? 元のサラリーマンに戻りますか?
社長:以前の不動産会社勤めの時はトップ営業マンだった。辞めて駅前に店舗を構えて独立したけど、辞めた会社から嫌がらせや妨害されてお客さんがほとんど来なかった。そんな時にコロナが襲った。駅前なので家賃も高いし、最近は家賃さえ払うのが苦しい。こんなはずではなかった。
中野:だったらもっと安い家賃の場所に移転という方法もあるのでは? 自宅なら家賃は不要ですよ。
社長:やっと借りた場所だし。今移転したらカッコ悪いし。仕事を自宅に持ち込みたくないし。免許の移転手続きも厄介だし。
中野:誰に対してそう思うのですか?
社長:辞めた会社や近所の人に決まってるでしょ!
相談は続きますが、会話の内容はここまでにします。
最後はお互いに気まずい雰囲気になりましたが、答えが出ないまま終了しました。食っていくために、なりふりかまわず朝から夜まで一日中考えて働くのが零細不動産会社の社長の仕事です。
今より大変な状況になっても逃げ出さい。だって社長なんだから
食べていけないと社長は言いますが、食べていくだけならどんなことをしてでも食べていく仕事や方法はいくらでもあります。何も不動産会社でなくても良かったのではないでしょうか?
理由は様々であっても、実際に不動産会社として独立して店舗を構えて家族と従業員を養っていくには、それ相応の覚悟が必要です。そう思います。
これからの人生には今よりもっと大変な出来事が次々と襲って来るかもしれません。逃げてばかりいては本当に食えなくなります。
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